いつか「デザインの貝印」と言われるように
貝印といえば、「切れ味のいい刃物」が企業価値の本質です。
長い歴史のなかで貝印が追求してきた刃物の切れ味は、国内外問わず、高く評価されていると思います。
刃物の切れ味という貝印の柱に、私はもう一本、「デザイン」という柱を打ち立てたいと思っています。
貝印は、2010年から毎年グッドデザイン賞を受賞しており、デザイン力の高さも徐々に認知されてきています。
いつか、「貝印といえば切れ味とデザイン」と評価されるようになるのが私の夢です。
トラディショナルなものに
触れる
最近は、競合他社やスタートアップ企業の新製品に刺激を受ける事もありますが、その一方で、甲冑であったり、陶芸作品であったりといった日本のトラディショナルなものにインスパイヤを得ることが増えてきました。
もともと歴史に興味はなかったのですが、昔から伝統的な陶芸は好きだったので、陶芸作家のところに行って話を聞いたりして休日を過ごすこともあります。
以前、KAI USAのデザイナーが三味線のクオリティを絶賛していたのですが、日本古来のプロダクトには、デザイン心を刺激するものが詰まっているように思っています。
たくさんの刺激を受けることが大切
社会に飛び込むことは、誰もが不安だと思います。
しかし、スキルや技術は入社してからでも十分身につきます。
そうしたことに不安を覚えず、いろいろな物を見るとか、いろいろな人に会うとか、海外に行くとか、目一杯遊んで欲しいと思います。
こうした経験は価値観のベースとなり、社会に入ってから必ず役に立ちます。
むしろ、こうした経験がないと自分の意見というものが言えなくなるような気さえします。
私は大学生の頃、たまたま耳鼻咽喉科のインターンに行ったことがあります。
医療機器デザインには興味がありましたが、実際の医療現場は未知の世界であり、そこで目にした手術道具にとても刺激を受けたのを覚えています。見たこともない形でしたし、何よりも美しくて、こういう世界にもデザインの領域がまだあるのだ、と衝撃を受けました。
自分の興味のある世界が、思いもよらない場所にも広がっている。だから、いろいろな物を見て、たくさん刺激を受けてほしいと思います。