海外売上比率が5割を超える貝印。通貨や制度の異なる他国と取引を交わし、製品を世界各地へ届けるためには、貿易実務が欠かせない。岐阜県関市の小屋名本社で、そんな輸出業務に携わるのが、商品本部貿易部の船積チームだ。
「私たちは女性6人のチームで、海外に輸出するほとんどの製品の貿易実務を担当しています。船積といっても、実際に船や飛行機に荷物を積むのは輸送会社で、私たちはパソコンでさまざまな貿易関係の書類を処理し、輸送会社へ指示出しをしています」と説明してくれたのは、チームリーダーの金重美穂さん。船積一筋12年のベテランだ。輸送手段は船が7〜8割を占め、その大半が名古屋港から出発するという。
「海外営業の部隊は東京にいるのですが、彼らが獲得した案件を船積手配するのが私たちの仕事です。なかでも大きな業務は、調達とインボイス。営業から注文書を受け取ったら、まず物流センターに在庫があるか、納期はいつかを確認し、在庫がなければ注文します。その後、受発注システムにデータを入力し、港の倉庫に製品ケースを納めます」。
貿易に携わりたくて貝印に入社したという遠藤真実さんが、業務内容を噛み砕いて教えてくれた。「インボイスとは納品書や請求書のことで、通関手続きに不可欠な書類です。英語で書かれているので、貿易実務に必要な英語はひと通り把握しています。覚えてしまえば、そんなに難しくないですよ」。とはいえ、貝印の製品はアイテム数が膨大なため、業務が立て込む月末は忙しくなるという。
「私は昨年入社したばかりですが、先輩たちが丁寧に仕事を教えてくれるので、とにかく毎日楽しい!の一言に尽きますね」。入社2年目の後藤亜由美さんが、元気いっぱいに答えてくれた。勢いを増す貝印の海外展開の裏には、熱心に仕事に打ち込む船積女子たちの頼もしいサポートがあった。