試験での印象が良かった。東京本社で勤務する今年の新入社員4人に、数ある会社の中から貝印を選んだ理由を聞くと、こんな答えが返ってきた。「面接の後に工場見学をしたんです。試験を受けた中でもそんな会社は貝印だけだし、面接官の方がとても親切だったことも印象に残りました」と、市販アジア部のトラン・ホーン・ビック・チャウさん。第二営業部の安蒜早紀さんも「見学の際に聞いた工場の方の話に感動して、結局はそれが決め手に」と話す。入社試験を互いの相性を確かめあう場とするならば、最後に心を動かすのはこんな優しさやぬくもりの部分なのかもしれない。
では入社後の印象はどうだろう。第一営業部の嶋﨑龍太郎さんは「商談でモノを売るのが営業の仕事と思っていました。でも実際は店舗という現場に足を運び、僕自身がバイヤーさんや店員の方と繋がることも大事なんですよね」。初めてばかりの内容に奮闘しながらも、日々発見があるようだ。中には、すでに新たな目標を見つけた人も。「ある商品のパッケージ作りに、同じ部署の先輩が携わったそうなんです。私もいつか開発部門の方と一緒にものづくりができたら。貝印は個々の意見を吸い上げるシステムもあり、他部署との連携などがやりやすい会社だと思う」と、市販欧米部の今井由佳さん。そして、同じ国際部で近々ベトナム担当になるチャウさんの夢はさらに大きい。「ベトナムには貝印の工場があるのに、商品は現地でほとんど売られていないんです。この現状を変えたい。生活に役立つとてもいい商品だということを、ベトナムの人たちにもっと紹介していきたいですね」。
人のぬくもりに惹かれここへきた彼ら、その視線の先にあるのもやはり人だ。貝印で受け継がれているのはきっとものづくりのその先、使う人への思いやりの心なのだろう。