
機械いじりが好きだった
子供時代
昔から機械をいじるのが好きな子供でした。
小学生の頃は、壊れたタイマーや目覚まし時計を直そうと思っていじっては、直し方が分からないのでそのまま壊してしまうような、そんな子供時代を過ごしていました。
パソコンが好きということもあって情報系の大学に進学しようと思っていたのですが、戦闘機の開発にも携わったことのある元自衛官の高校の担任の先生から、「物理や数学、情報系も学べるので機械科がいいよ」と勧められて、工学部に進学しました。
就職を考える際に頭をよぎったのは、刃物工場で働いていた祖父の姿でした。
子供の頃に、その工場で遊ばせてもらっていた記憶があり、なんとなく「刃物」に携われる仕事がしたいと思って、貝印に入社しました。

より複雑な技術を要する
医療器分野で活躍
入社して最初に配属されたのは、カミソリやカッターといった薄い刃物を担当する技術部の生産技術という部署でした。
仕事の内容は、現場からの要望に応える「何でも屋さん」です。
生産性を上げるための新たな設備の導入という要望があった時に、採算の合うように設備の設計をしたり、もっと切れ味をよくした刃物を作りたいという要望に対し、どういう風に作ればもっと切れる刃になるのかをテストして品質を上げるサポートをしたり。
現在は医療器系に担当が変わりました。取り扱うのは手術用のメスや白内障手術に使う眼科用メスなどです。それまで担当してきた刃物よりももっとよく切れる刃を要求される部署で、技術的に難しいことが多いと感じています。

見える形で残り、
人から反応がもらえる仕事を目指す
医療機工場のレイアウト変更に携わった時のことです。
このレイアウト変更は、工場内に並ぶ生産設備の位置を変えるという作業です。
なぜ行われたのかというと、対象となったエリアには生産設備がまちまちで、工程順に並んでいないという問題点があったからです。
そのため、隣接する工程の人同士で話ができなかったり、次の工程に部品を遠回りして持ち歩かなければならない物理的・時間的なロスが発生したりしていたのです。
そこで、いったん設備の配置をゼロから見直し、組み直すことにしました。
効率的な設備の並べ方から、機器を移動する際のコストの計算まで、一連の業務に携わらせていただきました。
その結果、人が歩く無駄が減り、工程順に並べたことで効率が上がりました。現場で働く方々から「作業がやりやすくなったよ」という声をいただけた時、私は「自分のやった仕事がこうやって残っていくのだ」と初めて思えました。
自分の手掛けた仕事が後に残っていく。見える形に残る。そして、人から反応がもらえる。
今後も、そうした仕事をしていきたいと考えています。