KAI FACT magazine
I'm KAI,too! #07
FACT  No.07


私もKAIです。 #07

貝印のカミソリの中には、20以上の特許が詰め込まれた製品もあるという。特許というとどこか堅いイメージがあるが、岐阜県関市の小屋名本社にある特許室では、日々どんな仕事が行われているのだろうか。

「私たちは開発から上がってくる新製品の案について、すでにある特許に抵触しないかを丹念に調べます。特許の仕事は、うまくやって当たり前。毎日プレッシャーばかりですが、意外に人間臭いコミュニケーションも必要なんですよ」と、チーフマネージャーの奥田章誠さん。

ものづくり企業では、特許の有無が競争力の大きな差につながる。そうなると特許出願がメインの業務かと思うが、実際には「調査する」「判断する」「出願する」という3つのプロセスのうち、調査と判断にほとんどの時間を割くという。「一に調査、二に判断、三、四がなくて五に出願」というほどだ。

その調査を主に担当しているのが、同じくチーフマネージャーの赤塚育久さん。経験を重ねるにつれ、〝過去にあんな特許があったな〟とピンと来るようになるという。開発や研究部門とのやりとりが多い特許室では、技術のベースとなる知識が不可欠だが、それに加えて、場数を踏むことがなにより大切なのだ。そんな特許の仕事の難しさと醍醐味を、奥田さんが熱い口調で語る。

「みんながよりよい新製品を市場に送り出そうとしている時に、特許室だけが唯一、社内で反対の意見を言うことがある。つまり、他社の特許に抵触しないよう、開発の意思に反する設計を強いる場合があるんです。市場に出る前の門番みたいな役割の特許室ですが、なるべく開発の意思を尊重できるよう、注文を最小限にするように心がけています。開発側がガッカリしない設計変更案を考えて提示できた時は、この上なく嬉しいですね」。

やってはいけないことを伝えるために、社内で啓蒙活動を続けているという二人。彼らのような存在が、貝印を陰で支えている。
  • 「特許公報」はアイデアの宝庫!

    類似の特許がないかを調べる際に参照するのが、特許庁が発行する「特許公報」。ここには他人が考えたアイデアが山のように掲載されています。この公報を開発のみなさんにも、もっと活用してもらえると嬉しいです。アイデアの引き出しが増えますよ。特許室には過去の公報が保管されていますので、ぜひ見に来てください。もちろんインターネットでも公開されています。ちなみに特許室に来て以来、妻からは「理屈っぽくなった」とよく言われます。職業病ですね(笑)。(赤塚さん)
  • 恐怖の「警告状」が届いたら…。

    他社から「御社の製品がうちの特許に抵触している」と警告状が届くことがたまにあります。そういう時は、理屈を考えて反論しなければいけません。その際に重要なのは、自分の理屈ではなく、相手の論拠に乗って打ち負かすこと。過去20年間、さまざまな警告状が届きましたが、すべて打ち負かしてきました。特許で会社に迷惑をかけたことは一度もない。それが自慢です。ただ、出願は国や審査官によって通る通らないがあるんです。オフレコの話はたくさんありますよ(笑)。(奥田さん)
  • 特許室 チーフマネージャー 赤塚育久さん

    ①入社21年、特許室15年半②難しい案件をうまくやり切れた時③地味に役に立つ仕事をする④娘たちに遊んでもらう⑤富田靖子

    特許室 チーフマネージャー 奥田章誠さん

    ①入社30年、特許室20年②ドNで論破できた時(N:ニュートラル)③無事是貴人④Rider & Farmer⑤ミキティ?!!

  • Questions

    ①この仕事を始めて  ②仕事で嬉しい瞬間  ③今後の仕事の目標  ④休みの日は何を?  ⑤好きな芸能人は?


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