郡上おどりで知られる郡上八幡からほど近い岐阜県郡上市大和町。長良川のほとりに建つ大和剣工場では、毎月10万丁を超える包丁が製造されている。貝印の品質を支える現場を見学させてもらった。
矢野明美さんは、スキ工程を担当して20年近くのベテランだ。「いろいろなアイテムを扱いますが、最近多いのは『旬SORA』ですね。刃体を機械に通して研削するのに1分もかからないです。ただ、機械作業とはいえ、細かな調整には人の手が不可欠。高品質なものが一丁でも多くできた日は本当に気持ちがいいです」。
刃付を担当するのは、國田真奈美さん。この工程になって初めて、刃先は鋭い切れ味を獲得する。高級包丁に用いられる平前刃付(湿式刃付)は、量産品に用いられる乾式刃付とは異なり、職人による高度な技術を要する。彼女は社内制度の匠マイスターでゴールド資格を持つ数少ない職人のひとりだ。「軽くやっているように見えるかもしれませんが、実は見た目よりもずっと力を入れて研いでいるんです。意外と力技なんですよ」。
刃付後の包丁は検査・包装を経て完成する。手入れ包装を担当するのは、大中知津子さん。「傷はないか、印刷はずれていないかなど、一丁ずつ確認しながら包装します。すべての工程はつながっていて、前工程の品質がよければ、それだけ時間も短縮できる。みんなが気持ちよく作業できているということが、よい包丁を世に送り出すことにつながります」。
製品づくりの基準を超えて「もっとよく」という思いにあふれる3人。「(包丁が)いいところにお嫁に行って欲しい!」という國田さんの言葉が印象的だった。
Questions
①13年 ②不良もなくスムーズに作業して生産目標を達成できた時 ③品質第一に手早く確実な作業で日々の生産を上げる ④家事、買い物 ⑤SMAP
①7年 ②切れ味・見た目ともに満足する一丁ができた時 ③刃付技術の向上、できることを増やす ④家事、犬と遊ぶ ⑤佐藤二朗、ムロツヨシ
①22年 ②納得したものができた時 ③機械を担当する上でのスキルアップ ④孫と遊ぶ、買い物 ⑤福山雅治