工場棟を建て替え、2018年5月から稼働が始まった小屋名の「新・第一工場」。貝印の生産拠点の中で唯一、カミソリ刃を製造するこの工場は、貝印製品の切れ味を支える心臓部分として、東南アジアを中心に世界的に拡大する需要に応えている。新工場で月産8千万枚もの刃を生み出す工程を案内してもらった。
今回見学したのは、「プリティー スリムL」の生産ライン。最初の工程を担当する佐藤正尚さんは、小屋名工場に10年以上勤めるベテランだ。「まずカミソリの材料をプレスして穴を開けます。それから約千百度の電気炉で加熱後、急速に冷却します。これで鋼材が硬くなるんです。さらに再加熱すると今度は粘りが出て、折れにくい鋼材ができます。次に、粗い砥石、細かい砥石、非常に細かい砥石の順で鋼材を削り、角度の鋭い刃先を作ります。これは『3段刃付け』といって、貝印の長年のノウハウが詰まった技術ですね。その次の研磨工程までを担当しています」。
佐藤さんからバトンを受け取るのは、松井清佳さん。「佐藤さんが作った刃を検査しています。刃先の仕上がりが悪いものがないか、異物が入っていないか、1枚ずつ目視で確認します。1時間で6、7万枚は見ていますね。視力はいい方かな、両目とも1・5なので…」。控えめな話ぶりとは裏腹に、その発言からは「後工程に迷惑をかけまい」という強いプロ意識が感じられる。
検査後の刃を貝印の独自技術「特殊プラズマイオン処理(PINK)」で硬くし、チタン合金とフッ素樹脂をコーティングする工程を担うのは、伊藤亮介さん。
「この最終工程で、剃り味と耐久性が格段に高まります。完成した刃は、組立を行う千疋工場のほか、上海、ベトナムなどの各拠点に運ばれます。ここはみんな仲のいい職場ですね。個人的な目標として、後輩の教育にも力を入れていきたいです」。
新工場は休憩スペースが充実するなど、働きやすい環境が嬉しいと3人とも声を揃える。人材育成やノウハウ共有の仕組みを作っていきたいと語る彼らからは、今後の貝印をリードする若々しいエネルギーが感じられた。
①9年 ②量販店で自分が関わっている商品を見た時 ③全ての工程を把握し、幅広い視野で仕事を進めていきたい ④ショッピング、居酒屋の新規開拓 ⑤本田翼
①7年 ②目標に一歩近づけた時 ③次につなげるための仕事をする ④ご飯屋さん巡り ⑤小池徹平
①11年 ②イレギュラーなトラブルを自分の力で解決できた時 ③人から頼られる存在になりたい ④仕事を忘れて全力で子どもと遊ぶ ⑤関口メンディー
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