質の高いものづくりを続けるために、まず絶対に必要なもの。それは、その品質を正しく評価し使いこなすことのできる、鋭い目と高い技術を持ったユーザーの存在だろう。その意味で、KAIの誇るキッチンナイフブランド『旬』のプロダクトが、食に強いこだわりを持つ人々に支持されていることは、まさに作り手と使い手の“幸福な関係”を示すものと言える。ましてや、今や全米どころか世界中から熱い注目を向けられている「食先進都市」ポートランドの多くのシェフたちの間で、同ブランドのナイフが使用されていることはまさに“誉れ”ではないだろうか。
2008年にオープンして以来、旬のローカル食材を生かした創作ノースウェスト料理で食通の間で高い評価を得る『リンカーン・レストラン』オーナーシェフのジェン・ルイさんも、「旬」のキッチンナイフを愛用する一人。2011年には「食のオスカー」とも言われるジェームズ・ビアード賞ノースウェスト最優秀シェフ部門でセミファイナリストにもノミネートされた。今や世界を股にかけるスターシェフの彼女が、かつて料理学校へ通うために東海岸からこの街へ移住し、その卒業後に最初に手にしたナイフが「旬」シリーズだったと言う。
「初めからツールは一番良いものを使いたいと思っていたので、頑張って貯金をして揃えたのよ。周りのシェフにも使っている人が数多くいたし、良いものと知っていましたから。日本の料理にも興味がありますが、日本の人々は仕事の“質”を大事にするでしょう。『練習することが上達への近道だ』と。そうしたクラフトマンシップに共感しますね。今持っているのは…多すぎて覚えていないわ(笑)。全部で12本くらいかしら?」
そう語りながら、ルイさんはフルーツナイフを取り出し、目の前にあるオレンジを素早く正確に切り分けていく。何気なくこなすその洗練された手捌きに、これまで彼女が積み重ねてきた膨大な「練習」の跡が見える。
「良いナイフの条件はたくさんあるわね。ハンドルが手に馴染むこと、よく切れること、刃が強いこと、研ぎやすいこと……そのすべてを『旬』は満たしています。だからこそ私は、料理をする旅ではどこへでも、これらを持っていくんです。美味しい料理には必ず、いいナイフが必要なんですからね」