KAI FACT magazine
貝印香港の40年。「これまで」と「これから」。
FACT  No.07


貝印香港の40年。
「これまで」と「これから」。

貝印のなかでも、大きなマーケットであるアジア。
そのビジネスにおいて中核を担っているのが、来年40周年を迎える〈貝印香港〉である。
アジアのなかで、特に中国をターゲットにしてきた“これまで”の歴史と、
アジア全体を統括していく“これから”の展望をひも解いた。

アジアのハブとして統括する役割を担う

2018年、〈貝印香港〉は40周年を迎える。
5年前にゼネラルマネージャーに就任した青木良太さんは「地域の市場を深堀りし、香港域内の売り上げは堅調に推移しています」と話す。
国内リテール担当のチャン・カー・ユック・ガレスさんも「〈KAI SHOP〉も現在2店舗になり、エンドユーザーに直接アピールする場も増えました。良好なアフターサービスが、お客様やバイヤーさんにも信用されています」という。
〈貝印香港〉は、アジア全体を統括する立場として重要な拠点となっている。これまでは中国へのゲートウェイとしての役割が大きかったが、
中国市場の自由化・活性化が進んだことで、よりアジア全体への視点が求められている。
「アメリカやヨーロッパに比べて、まだ決してアジアの成績が良いとは言えません。〈貝印〉本社の国際部と連携することによって、地の利を活かしたアジア各国との行き来が可能。より外のお客さんと密接な関係性を構築していきたい」と青木さん。
また大きな事業としては、ハウスウェアとビューティのOEMがある。
貝印の技術や品質はもちろん、最近ではマーケティング視点やデザイン性の提案も求められている。「OEMからODM=オリジナル・デザイン・マニュファクチャリングへと求められる内容が変化しています」とOEM担当のウォン・フン・タイさん。製造拠点をアジアにたくさん持っていることで、各拠点でつくれるものを組み合わせてニーズを満たしたり、どこから発送するかによって輸出時の関税調整も可能になる。香港という地の利を活かし、アジアのハブとして、オーガナイズする役割を担っている。
青木良太さん/ゼネラルマネージャー。日本国内で営業職を経て国際部へ。香港に異動して5年目。「まだまだ貝印だから買うというところまでは育っていません。もっと多く市場に商品を流通させ“気づいたら貝印”という状況にしたい」。
  • 香港でも品質が高いと評判の〈旬〉シリーズ。やはり中華包丁が売れ筋で、中国文化を象徴している。
  • 盾とともに、本社にも銅像がある〈三和像〉のミニチュアを置き、貝印の創業精神を心に刻む。
ウォン・フン・タイさん/OEM担当マネージャー、エグゼクティブオフィサー。「香港、日本、広州の3地域でチームになって動いています」。
チャン・カー・ユック・ガレスさん/国内リテール担当。「歴史あるブランドですが、よりブランド力を高めて、
認知度を高めていきたい」。

香港現地法人 奇異刀剪有限公司香港(現在のKai Cutlery
(H.K.)Ltd.)を設立。貝印としてアジア初の支社となる。

オフィス立ち上げ当初は小さな駐在員オフィス。主に、販売代理店のフォロー。
「ラシャ鋏」(縫製用ハサミ)を日本から輸入し販売。日本人駐在も1名体制。

貝印創業80周年を記念して、初の海外社員旅行として香港に生産・販売部門計600余名が訪れる。

柴湾(チャイワン)にオフィスを移転し、本格的な倉庫機能を持たせ、
家庭・美粧・カミソリ商品の在庫が整い、輸入販売を本格スタート。日本人スタッフも3名に。

世界初三枚刃カミソリ K3発売時に2階建ての路面電車
(トラム)をジャックしたK3ラッピング広告を展開。

「辰巳琢郎が選ぶお菓子コンクール」予選大会を香港で開催。

アジア初となる貝印旗艦店Kai Shopの一号店をオープン。

香港の〈Kai shop〉2号店は、クワイ・フォンエリアのモールに、2016年3月にオープンした。上海の店舗同様、アジア全般で共通のコンセプトを設定し、統一感のあるショップとなっている。キッチンツールに関しては、保守的な日本と違い、香港の人は新しいもの好きなので、「トレンドを追いながらたくさんの商品を陳列しています」とアジア全般のVMDを担当する井村真美代さんは言う。売れ筋は「旬」シリーズ。ここ10年は製菓用品が急激に伸びているという。
狭くて高い、香港の土地事情、そして新しいもの好きの香港気質を考慮して、什器は可動式に。木目を活かした店舗設計で、高級なイメージを訴求。〈Kai shop〉では商品をぎっちりと見せて、「マーケット感」を演出するテーマで展開している。
井村真美代さん(右)と実際にショップ運営するスタッフたち。オススメを聞いたところ、香港らしく便利グッズの「関孫六」シリーズの「千切り器」、そしてフライ返し、レードルなどの基本グッズを選んでくれた。

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