〈ルイ・ヴィトン〉や〈ディオール〉などのブランドを手がけ、信頼を得ている〈CheRi Bibi〉。それでもまだまだものづくりについて学ぶことはあるというマリークレールさん。
「クリエイターやデザイナーから送られてくるデザイン画や写真を、求める形にするのが私の仕事。毎回新しいデザインなので、そのすべてが学びです」。
デザイナーや消費者が満足いくプロダクトを生み出すのが職人のクラフトマンシップ。それには道具も大切だ。はさみは切る布によって12本ほどを使い分けている。その中には貝印のはさみもあった。
「私たちの仕事には軽くて、手の形にフィットして、真っ直ぐで、細いものがベスト」。
マリークレールさんのすぐれた技術を受け継ぐ日本人がいる。日爪ノブキさんだ。「〝バリアを取り払え〟とよく言われます。決まったやり方はないということです」。
マリークレールさんのものづくりには、個性を大切にする精神がある。
「技術を伝えたあとは、できれば私のことは忘れてほしい。それぞれが自分なりの帽子を作っていくことが大切。師匠から指摘された1㎜を忠実に守るより、1㎜ずれていても、自分で魂を込めて作ったほうが最終的に美しく仕上がります」。
間違いのない技術と伝統を習得したうえで、アイデンティティを表現していく。革新は職人からも起こせる。