ファッションや音楽、雑誌やアートシーンに上海のクリエイターたちが築いた土台があるように、広告・マーケティングの世界にも〝新しい上海〟を担うクリエイティブエージェンシーが多く存在する。中でも〈グレートワークス〉は他とは一線を画す、いま勢いのある企業の一つだ。本社はスウェーデンのストックホルム。NYと東京に支社を構え、上海オフィスは2007年6月に設立された。クライアントにはアジア最大のEC(電子商取引)企業アリババや、日本のアサヒビール、東芝などの大企業が名を連ね、ポスターやムービーをはじめイベントやキャンペーンサイトの構築まで、依頼主からのオーダーを受けてアウトプットを提案する。ただ、外部のクリエイターに発注して舵を取るプロデューサー集団ではなく、営業からクリエイティブまでほとんどのプロジェクトにおいて、30歳前後の若いスタッフで行っているというから驚く。「イラストやムービー、ウェブデザインなどができる〝個〟の才能が結集したチームというのが私たちの強み」と話すのは代表のナナさん。取材日には〈上海貝印貿易〉で総経理を務める河合豊さんとの打ち合わせが行われていた。2011年から〈グレートワークス〉とタッグを組むようになった決定打とは?河合さんに聞いた。
「中国はスマフォ社会なので鍵を握るのはEコマース。ただ、商品を売るだけでなく〈貝印〉の根幹にある〝モノづくり〟も訴求したい。となると、ネットでの柔軟な発想と速い対応に加え、質の高いブランディングもできるアイデアマンが必要だったんです」。
昨年、〈グレートワークス〉は上海新世界大丸百貨内にて〈貝印〉の実店舗をディレクションし、今年はWeChatなどSNS上でのPRを強化。「企業にとってベストな道を作るのが使命」。そう口を揃える彼らの仕事は、まさに〝グレートワークス〟なのだ。