岐阜県関市の小屋名工場ではカミソリや医療用刃物だけではなく、特殊刃物も開発・製造している。窓口を担うのは刃物営業部。繊維業からは糸や布のカット、飲食業からは様々な食材のスライス、製造業からはゴムや部品の切断と、様々な業種の企業から特殊なオファーが日々舞い込む。中には思いがけない注文もあるようで、なんとJAXAから依頼が!「衛星に付着した微粒子を研究・解析するための刃物というオーダーで、ありえないくらい切れ味のいいカッターを作りました(笑)」とチーフマネージャーの大塚正裕さんは、宇宙規模の仕事を誇らしげに話す。
刃物営業部と同じく店頭には並ばない刃物を扱うのが、理美・業務用品営業部。主にT字カミソリを、ホテル・旅館・銭湯・サウナ・ゴルフ場など、男性がカミソリを使う施設に納品する。「特に大型連休前には全国から追加発注が殺到するので、製造チームとの連携が重要」と語るのは宇野利那さん。「仕入れ計画が順調に進み無事に納品できたら、山登りのプランを立てたい」と、趣味においても〝計画は念入りに〟が彼女のモットー。一方で、新規顧客の営業を担当するのは加藤建城さん。自社製品の強みを聞くと「カミソリは1枚刃から5枚刃まであり、首振りのモデルやスムーザーがつくタイプも。袋や箱の仕様、ハンドルの色替えなどさまざまに対応できるんです」と、〝高い機能性と柔軟な提案力〟が持ち味だと答えてくれた。趣味が高じて仕事になるというのはよくあるが、加藤さんは「営業をしているうちに趣味がスパ巡りになった」というから面白い。
日常の至るところで活躍する、暮らしの基盤を支える刃物。なかなか表には見えない仕事ではあるが、仕事も趣味も人一倍楽しむ彼らが、それを支えている。