2010年に完成した、世界的に有名な建築家、ザハ・ハディドによる〈広州大劇院(オペラハウス)〉。周辺は市民の憇いの場となっている。
〈広州塔〉には屋内展望台のほか、さらに上の屋外展望台には〈Pod ride〉という観覧車や〈速降座椅〉というフリーフォールもあるから驚く。
地上433メートルの地点にある〈広州塔〉の屋内展望台からは、急速に経済発展を遂げてきた広州の街並みを見渡すことができる。
全高600メートルの〈広州塔〉を足下から。鼓がねじれているような独特の形状。圧倒的な高さで、街のいろいろな場所から発見できる。
〈リーピングクリエイティヴ〉のゼン・ジェンさん。「ユーザーエクスペリエンス」とストーリー性を取り入れたデザインに定評がある。
「総合的なブランディングを手がけられる会社は中国内にもまだ少なく、その分野で他社と一線を画しているという自負があります」。その中で、一躍名をあげた案件が〈HEYTEA〉だ。中国国内で30店舗以上を展開する、チーズティが有名なカフェである。日本の禅の精神から発想した、白を基調としたクリーンなデザインだ。「グローバルの潮流や作法を取り入れながら地域性を表現する手段はあるはずです。私自身としても、それを常に模索しています」。
ゼン・ジェン/ロンドンでのプロダクトやブランディング分野でのデザイン経験を経て、2010年に広州で〈リーピングクリエイティヴ〉設立。空間、プロダクト、グラフィックのデザイナーなど、40名以上のスタッフを抱えている。主な仕事に「SUOFEIYA WORKSHOP」「emoji@城中村」「HEYTEA」など。
〈HEYTEA〉などの大衆的な店舗デザイン・ブランディングのほか、地域自体をクリエイティヴの力で盛り上げる仕事まで幅広い。
中華料理は、日本人にとって馴染みがあり、長期滞在でも飽きずに食べることができる。特に広州がある広東省は、飲茶・点心の本場。ワゴンで運んでくる伝統的なスタイルは少なくなってしまったが、食へのこだわりは市民に引き継がれている。また、西洋料理を取り入れた「ヌーベルシノワ」のようなモダン中華に加え、冷製酢豚、ロブスターお粥など、提供された瞬間に驚きを隠せない斬新な料理も登場し、進化している。
専門の学校や大学にも通わず、スタジオ勤務経験もないという異例のフォトグラファー、ウィン・ウーさん。それだけに、その哲学は独特だ。かつては大きなクライアントの仕事も受けていたが、5年ほど前からは自分の好きな世界観に没頭し、表現を磨いている。プロデュースユニット〈VK〉のメンバーとしても活動し、発信性の強い仕事を多数こなしてきた。
「〈VK〉での活動が認められ、アパレル系の仕事が増えてきました。シーズンごとにテーマが変わり、それにフィットした撮影をしていくので、自分には相性が良いと思います。コンセプトづくりから携われることは魅力的な仕事です」。
地域も手法も関係なく、常識にとらわれない〝写真〟に辿り着くことが目標だ。
ウィン・ウー/日本の写真家、森山大道に憧れて写真家を志す。写真を誰からも学ぶことなく、まずは花を撮ることから始めた。コンクールなどに出展する作品は、モノクロのフィルムで撮影することも多い。2018年には自らの会社を立ち上げ、多忙な日々だったが、これからは作品づくりにも力を入れていくという。
中心部から少し離れた場所には、大きな倉庫などをリノベーションしたオフィスや店舗が並ぶ施設がいくつもある。イマドキ若者が集うスポットだ。
Garyさんがグラフィックデザイン、空間デザイン、家具・インテリアショップオーナー、バンドと幅広い活動をしているのは、好きなことに邁進してきたから。自身のコンセプトとしては、「DBG」があるという。
「これはDesigned By Guangzhouの略です。これまで広州らしさとは何だろうと迷いながら、ものづくりを続けてきました。しかし最初からわかりやすい答えがあるわけではなく、自分で創造していくことが正解だと思います。僕の作品が世に出ていけば、それは必然的に〝広州らしさ〟となるはず。そうした決意を込めた言葉です」。
広州ブランドがないのならば、自分たちでつくっていけばいいのだ。
Gary/広州の美術系大学を卒業後、デザイン業に就くが、自分のスタイルを求めて独立。自身の成長につながる仕事やライフスタイルに合う仕事を受けることをモットーにしている。2006年から始めたバンド〈Monster KaR〉では、これまでにアルバムを3枚リリース。フェスのディレクションも行っている。
本当にたくさんのレンタルサイクルがある。一度登録すればスマホ1台で簡単に借りられて、どこに停めても構わない。さすがIT先進都市。
中国を代表する二人のアーティスト、宋冬の〈無界博物館〉、そして扉艺廊の〈扉美術館〉が隣接。突然出現する街中アートだ。
ここ十数年、大きな経済発展を遂げて、街が大きく変容してきた。ここまで、そんな都会的な広州を旅してきたが、やはり中国らしい活気に溢れた広州も見てみたい。それは路地裏にしっかりと息づいていた。薄暗いし、一見、妖しく感じるかもしれないが、食料品や日用品、マッサージや美容室など、確かな広州っ子の生活の息吹を感じる。広州の支払いでは〈WeChat(微信)〉というメッセージアプリを使用した電子決済〈WeChat Pay〉が普及している。現金以上に使えて、何と路上の八百屋さんでも使用できた! ちなみに狭い狭い道でも、エンジン付き自転車がなかなか速いスピードで駆け抜けるので、もし裏路地観光を行うなら、そこにだけは注意が必要である。