包丁を知る包丁ができるまで
包丁は、主に「刃(鋼材)」と「ハンドル」で構成されています。
使える状態になるまでに、どのような工程があるのでしょうか。
使える状態になるまでに、どのような工程があるのでしょうか。
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素材の状態から包丁を形づくるには、大きく分けて3つの方法があります。
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鍛造
鍛造は昔ながらの製法で、火造りとも呼ばれ、赤くなるまで加熱した鋼材を金床に置いて槌(ハンマー)でたたき、形を整えていく方法になります。
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プレス加工
工業製品として大量生産するには、プレス加工が適しています。素材である平らな鋼材の板を穴のあいた下型(ダイス)に載せ、上からその穴の形と同じ上型(パンチ)を押し当て、強い圧力をかけて打ち抜くという方法です。
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レーザー加工
刃体を形づくる最も新しい方法は、レーザー光線で平らな鋼材の板を切り抜くレーザー加工です。レーザー加工は、レーザー光線の軌跡を制御するプログラムを変更するだけで刃体の形を変えることが可能なので、多様化した顧客のニーズに対応するための多品種少量生産や、試作品をいくつも作って比較検討する際などに有利な方法になります。
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形づくられた鋼材に命を吹き込む作業、それが焼き入れと焼き戻しです。このふたつを合わせて「熱処理」と呼んでいます。焼き入れは、炭素鋼で950℃前後、ステンレス鋼で1050℃~1100℃に加熱してから水または油または空気中で冷却することで、鋼材を硬くすることが目的です。それに加え、サブゼロ処理を行うことで硬度の均一化と経年変化による曲がりや割れを防止しています。しかし、このままではもろいので、刃こぼれしやすく刃物としては使いづらい状態です。そこで、焼き入れ温度よりも低い180~210℃に再加熱して冷ます、焼き戻しを行ないます。こうすることで靭性が生まれ使い勝手がよくなるので、焼き入れと焼き戻しはセットで行なうべきものと言えるでしょう。
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刃を付けていく作業は、おおまかな流れで「研削→研磨→刃付け→刃先研磨」になっています。この中で、数回にわたる研削や研磨を重ね、丁寧に仕上げられていきます。