AUGER®×忍ism Gaming インタビュー第3回 ヤマグチ選手

インタビュー

- INTERVIEW -

「人生を変える」気持ちで若手選手育成プロジェクトに応募、鍛錬の積み重ねで現在はチームを代表するプロ選手に。
AUGER×忍ism Gaming
インタビュー第3回
“ヤマグチ”選手

“身だしなみを整える時間”をより豊かで、より心地良いものへと導くべく誕生したグルーミングツールブランド“AUGER”。コミュニケーションパートナーであるプロeスポーツチーム“忍ism Gaming”のインタビュー企画。

3回目となる今回は、『ストリートファイター』シリーズで活動するヤマグチ選手へのインタビューを掲載。忍ismの若手選手育成プロジェクトの育成選手としてキャリアをスタートし、現在は『ストリートファイター』シリーズの公式リーグ“ストリートファイターリーグ”で活躍を見せるヤマグチ選手。彼のプロ選手への歩みとともに、ゲームに対する熱い思いを伺った。

「人生を変える」という強い思いで忍ismの若手育成プロジェクトに応募

まずは、ヤマグチ選手のゲーム歴を教えてください。

ヤマグチ ゲームを遊び始めたのは幼稚園に入るぐらいの頃で、最初に遊んだ作品はニンテンドーDSの『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』だったと思います。僕の年齢が21歳なので、ゲーム歴でいうと15年以上ですね。

初めて格闘ゲームに触れたのはいつ頃でしょうか?

ヤマグチ 小学生高学年の時に兄弟で遊んでいたのが最初だったと思います。その時は格闘ゲームという意識はなくて、対戦して楽しむゲームという感覚でした。本気で格闘ゲームを触り始めたのは、中学1年生の時の『ウルトラストリートファイター4』からですね。

中学1年生の時から真剣に取り組まれていたんですね。何かきっかけがあったのでしょうか?

ヤマグチ 純粋にゲームとしてすごく魅力に感じたということもありますし、当時、ウメハラさんやももちさんが大会に出場している姿を見て「自分もこの世界でやってみたいな」と思ったんです。そこから本気で格闘ゲームに取り組むようになりましたね。

2016年にはももちさんが立ち上げられた若手育成プロジェクトに参加することになります。当時14歳という若さでしたが、その時の心境はいかがでしたか?

ヤマグチ 若手育成プロジェクトには、「この機会は絶対に逃がしたくない」と思って応募しました。当時はちょうど自分の将来について色々と考える時期で、何かひとつのことを見つけてそれに打ち込んでみたいなと考えていたので、育成プロジェクトで「人生を変えてやるぞ」くらいに思っていたんです。

それほどこの育成プロジェクトに懸けていたんですね。

ヤマグチ そうですね。書類審査が終わった後に面接があったんですが、面接で伝えきれなかったことをメールで送ってしまうぐらいに「受かりたい」と思っていました。普段はどちらかというと控えめな性格なんですけど、当時はおかしいぐらい熱意があった気がします……(笑)。

当時の家族の反応はいかがでしたか?

ヤマグチ 最初は、ゲームを本気でやることに対してそこまで肯定的ではなかったですね。ですが、僕自身や活躍している選手の姿、考えを通して、今では「ゲームもいいんじゃない」と応援してくれています。

育成選手からプロ選手に。年齢を重ねるごとに変わるゲームに対する考え

育成プロジェクトに合格して育成選手として忍ismに所属されることになりましたが、心境の変化はありましたか?

ヤマグチ 応募する前から格闘ゲームに対する熱は高かったので、そこまで大きな変化はなかったと思います。ただ、忍ismに所属してからもそうですし、年齢を重ねるにつれて、考え方が変わっていったかなと。

応募した当時は「とにかくゲームを本気でやればいいんでしょう」という考えで視野が狭く考え方も幼かったと思います。ですが、世の中には色々な考え方があるということを学んで、物事をより俯瞰的に捉えられるようになり、純粋にゲームに向き合えるようになった気がします。

年を重ねるごとに考え方も変わっていったと。ちなみに、育成選手としてどのようなことを教わったのでしょうか?

ヤマグチ もちろん、ゲームのテクニックは教わりましたが、プロとしての姿勢は、ももちさんやチョコブランカさんの活動される姿を間近で見て汲み取っていく感じでしたね。大会に向けての取り組み方もそうですが、応援してくださっているファンの方々に真摯に対応する姿を見て、自分もこういう選手になりたいなと影響を受けたと思います。

2018年には忍ism運営のプロゲーミングチーム“Fudoh(不動)”所属のプロ選手として活動を開始されました。その時の心境はいかがでしたか?

ヤマグチ もともと世界一になりたいという目標があって、それを目指して活動してきたんですが、プロ選手として所属してからは、より結果を出すことを意識するようになりました。

チームの看板を背負うことになりますが、プレッシャーも感じていましたか?

ヤマグチ ももちさんやチョコブランカさんから「結果を出せ」と言われたことはないんですけど、一人で勝手に「結果を出さないと」と気負ってしまっていた部分はありますね。

育成選手からプロ選手とで活動に違いはあったのでしょうか?

ヤマグチ 大会には育成選手の頃から出場していたので、プロ選手になってからの違いは海外大会に行くようになったぐらいですね。ゲームを練習するのは育成選手でもプロ選手でも同じなので、大きな変化はありませんでした。ただ、プロ選手になってからメディアへの露出が増えたので、自分の発言や立ち振る舞いには一層、気をつけるようになったかなと思います。

2019年からは大学受験に専念するために一時的に活動を休止されていましたが、この間は格闘ゲームをプレイされていなかったんですか?

ヤマグチ そうですね。息抜きとして大会の動画を見たりはしましたが、基本的にプレイはしていなかったです。やり始めると止まらなくなってしまうので……(笑)。大学受験に専念しようと決めた時から、受験が終わったら絶対にゲームの世界に戻ってこようと決めていたので、とにかく休止期間は勉強に集中していました。

対戦で意識しているのは“いつもの自分を出す”こと

2022年から『ストリートファイター』公式リーグの“ストリートファイターリーグ”に参加されることになります。リーグ戦の間も大学に通われていたのでしょうか?

ヤマグチ その期間は休学をして、ゲームに専念していました。

公式リーグに参加されてみていかがでしたか?

ヤマグチ 普段の大会の基本的なフォーマットはトーナメントなので、リーグ戦は根本的なルールが違うためすごく新鮮でしたね。トーナメントでは、誰とどのキャラクターで戦うかが分からないので、万遍なく対策をした方が勝率が高くなります。一方、リーグ戦では次に戦うチームが決まっているので、対戦相手にフォーカスした練習を重ねた方が勝ちにつながりやすくなります。試合に向けての取り組み方も全然違って、すごく楽しめましたね。

個人ではなく、チームで戦うことになりますよね。その分、プレッシャーも大きかったのでは?

ヤマグチ そうですね。プレイオフの時に、自分が負けるとチームが敗退するという場面があったんですけど、その時はすごく緊張しました。ただ、ももちさんを筆頭にチームメイトが声掛けをしてくれて、気持ちが楽になってすごく助かりました。

普通に生活をしていると、プレッシャーがかかる場面を経験することは少ないと思うんです。リーグ戦を通して、そういった貴重な体験をさせていただけたのはありがたかったですし、どういう心構えで挑んだらいいか等、すごく勉強になりました。

ヤマグチ選手は対戦前のルーティンなどあるのでしょうか?

ヤマグチ 手先が冷えているとプレイに支障が出るので、体を暖めるためにも温かいお茶を飲んだりしていますね。他にも、爪の手入れにも気を配っています。

爪の長さで感覚が違ったりするのでしょうか?

ヤマグチ そうですね。爪が伸びていると割れてしまうこともありますし、違うボタンに引っかかって意図しない技が出るといったミスにつながるので、爪切りやネイルファイルなどを使って日ごろから手入れするようにしています。
あとは、試合やイベントではカメラに自分の顔が映し出されることもあります。その時に最低限、プロとして恥ずかしくない見た目になるように気を使っています。これはAUGERさんのインタビューだから言うわけではないんですけど、カミソリが本当に使いやすいですね。市販のものと剃り心地が全然違って、するっと剃れちゃうんです。もう手放せないです……!(笑)

メンタルの部分ではどのようなことを意識されているのでしょうか?

ヤマグチ 心がけていることは、いつも通りプレイすることですね。練習の成果が出せるように、いつもの自分を意識しています。もちろん、プレッシャーや緊張もあってなかなか難しいですが……。

日々、学びを得て、プロ選手として、そしていちプレイヤーとしてさらなる高みに

ヤマグチ選手は1日にどれくらいゲームの練習をされるんですか?

ヤマグチ 日によって違いますが、大学の授業がある日は課題を終わらせてから4~6時間ぐらい練習しています。休日は体力が続く限りはゲームのことを考えてプレイしています。

ゲームが中心の生活をしているんですね。普段はどういったことを意識されて練習されているんでしょうか?

ヤマグチ 基本的な部分でまわりと差をつけられないように、そして抜けがないように意識していますね。勝つにはそれだけでは足りなくて、自分なりの攻略を見つけることも大事なので、そこも意識して練習しています。

堅実的なプレイスタイルがももちさんに似ていると称されることも多いですが、そのことについてどう思われていますか?

ヤマグチ 肯定的な意味合いでそう言われることが多いので、すごくありがたいなと思います。とはいえ、正直なところ、上手い人がプレイしたら同じようなプレイスタイルになると思っているので、僕個人としては強く意識していないですね。

腕を磨いたら、行きつくところはそこだと。

ヤマグチ そうですね。勝負では効率も求められるので、同じような解答になると思います。もちろん、その中にもプレイヤーごとに微妙な差異があって、その違いが勝負に出るのも対戦格闘ゲームの魅力のひとつかなと。プレイスタイルは同じように見えても、ももちさんは独特の勝負勘を持っている。僕とは全然違うんです。

逆にヤマグチ選手ならではの強みはどこでしょう?

ヤマグチ 僕の強みは、やるべきことをちゃんとやる、ミスを少なくする、抜けの部分をなくすというところだと思います。そこが今勝てている要因なのかなと。ただ現状、勝負勘という点では、未熟な部分があるというのが正直なところですね……。

そこも意識して練習されているんですね。

ヤマグチ そうですね。試合で普段の自分を出せるように、コンボやコントローラーの操作といった地味な練習を反復しています。僕は地味な作業が好きなので、そこまで苦には感じないんですよね。

忍ismの他のメンバーの方から影響された部分はありますか?

ヤマグチ 同じ『ストリートファイター』部門のももちさんも藤村さんも自分も同じようなタイプで、ミスをなくすことや、コントローラーの操作をしっかりやることを重視しているプレイヤーなんです。とくに藤村さんはコントローラーの操作をしっかりと修得するために、同じ指の動きを何時間もくり返したりしているんですよ。それを見ると、自分ももっとがんばらないといけないなと思いますね。

精神的なところでいうと、ももちさんは試合の流れや相手の心理を重視していて、藤村さんはメンタルの調子に左右されないようなプレイを心がけていると思います。お二人ともまったく別の考え方ですが、両方大事だなと思っていて、学ばせていただいています。

日々、学びを得ているヤマグチ選手ですが、今後、プロとしてどういう選手になりたいと思っていますか?

ヤマグチ まずは、次のストリートファイターリーグで勝つことが目標ですね。プロとしても、いちプレイヤーとしてもさらなる高みを目指したいので、継続してがんばっていきたいなと思っています。

僕はプロになってからの経験がまだまだ浅いです。プロ選手として、これからも色々な経験をしていきたいですし、ももちさんやチョコブランカさんの活動を見て、自分にできることはどういうことなのかも考えて、行動に移していけたらなと思っています。

最後に、これからプロ選手になりたいという人に向けてアドバイスをお願いします。

ヤマグチ 自分と向き合うことがすごく大事だと思います。本当にプロになりたいのか、何のためにプロになるのかなど、僕も日々自分の中で問いかけています。それの積み重ねで、自分の芯がしっかりしてくるかなと。周りを意識することももちろん大事だと思いますが、まずは自分と向き合って考えを明確にしていくと、違ったものが見えてくるかもしれません。

ヤマグチ選手

2016年に始動した忍ism主催の“若手選手育成プロジェクト”で、当時14歳という若さで育成選手に。2018年には忍ism運営のプロゲーミングチーム“Fudoh(不動)”(現在の忍ism Gaming)でプロ選手としての活動を開始。“ストリートファイターリーグ”の2022年シーズンでは、忍ism Gamingのメンバーの一人として活躍を見せる。