AUGER®×忍ism Gaming インタビュー第1回 takera選手

インタビュー

- INTERVIEW -

競技者として上を目指すための
秘訣は“整え方”
にあり。
AUGER×忍ism Gaming
インタビュー第1回
“takera”選手

“身だしなみを整える時間”をより豊かで、より心地良いものへと導くべく誕生したグルーミングツールブランド“AUGER”。現在、AUGERは、コミュニケーションパートナーであるプロeスポーツチーム“忍ism Gaming”とさまざまな取り組みを実施している。

本記事では、“忍ism Gaming”に所属する選手にインタビューを敢行。第1回では、『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズで活躍するtakera選手に、競技者としてのルーツや、勝負に勝つための“整え方”などを伺った。

強くなるための秘訣は“環境作り”。
すべては自分が上手くなるため

takera選手と『大乱闘スマッシュブラザーズ』(以下、『スマブラ』)シリーズの出会いはいつ頃でしたか?

takera 『スマブラ』との出会いは中学生の頃でしたね。友達とワイワイと楽しみながらよく対戦をしていたのを覚えています。

競技タイトルとして意識され始めたのはいつ頃からでしょうか?

takera 大会などに出場するようになったのは20歳を超えてからですね。今から9年ほど前に就職がきっかけで上京したのですが、地元から出てきたばかりで周りに友達が少なくて、暇を持て余していました。その時に時間を潰すために『スマブラ』をプレイし始めたら、再びハマっていきました。

最初はただ楽しんで遊んでいただけだったのですが、ある時に大会に出場して、ギリギリで予選落ちをしたんです。それが本当に悔しくて「もう一歩踏み込んでやろう」と決めてプレイし始めたのが、競技としての取り組みのスタートだったかなと思います。

takera選手は自宅に友人を招いて夜な夜な対戦を行う“宅オフ”企画も主催されていますよね。“宅オフ”企画を開こうと思ったきっかけなどがあったのでしょうか?

takera “宅オフ”企画自体は、『スマブラ』のコミュニティに昔からあった文化で、別の方がやられている催しに参加した時に、皆で集まって対戦をするのがすごく楽しいなと感じて、「自分でも開いてみたい」と思ったのがきっかけですね。

そこからtakeraさんも主催されるようになったんですね。

takera もう一つ理由があって、社会人をしながら『スマブラ』に取り組んでいたので、平日はなかなか時間が取れなくて……。だから自分の中で一番効率よく上手くなろうと考えた時に、仕事から帰宅して自宅に対戦環境があるのが一番だなと思ったので、宅オフを主催しだした感じですね。

最近の作品ではオンライン上での対戦もできますが、何故オフラインで顔を合わせて対戦をしていたのでしょうか?

takera オンライン対戦は、今は改善されていますが、昔は操作してからその入力が受け付けられる時間にタイムラグがあって、正直、満足して対戦できる環境ではありませんでした。オンラインだと、オフラインで対戦するよりも何フレームか遅れる状況で、それが苦しくて……。

対戦ゲームだと、その数フレームの遅延が感覚を鈍らせることがありますよね。

takera そういったこともあって、『スマブラ』のプレイヤーの中にも、オンラインを中心に練習をする人と、オフラインで集まって練習する人で分かれていきました。僕はオフラインでの対戦にハマっていって、そちらの比重を多めに活動していたので、自分でも宅オフを主催するようになったんです。

何人ぐらいでやられていたんですか?

takera 自分を含めて12人ぐらいが定員のマックスとして定めていました。といっても、多い時は30人ぐらい集まっていましたね(笑)。

そんなに! 統制を取るのが大変そうですね。

takera 最初は大変でしたけど、徐々にいつも来てくださっている常連の方も勝手が分かってきて、自発的に動いてくれたりしたので、そこまで苦ではありませんでした。コミュニケーションの問題で衝突することもありましたが、比較的、治安良くやれていたかなと。

宅オフはどのぐらいの期間やられていたのですか?

takera 宅オフは、『スマブラ』を競技タイトルと意識してから3、4ヵ月で、千葉で大きい家を借りて主催しだして、5年ほどやっていました。週5、6回ぐらいの頻度で自分の家を開放して、ずっと対戦をしていましたね。宅オフをやっていない時は大会があるときぐらい、という感じでした。

宅オフをしていた目的は、やはり自分が上手くなるためだったのでしょうか?

takera そうですね。もちろん、そこで色々なプレイヤーと知り合えて仲の良い人ができたのもうれしかったポイントですが、結局のところ、自分が大会で勝つためにより良い環境を作っていたら、気づけば長いことやっていったという感じですね。

5年ともあると色々と思い出がありそうですね。

takera 自分の誕生日の時に、よく来てくださっていた常連のプレイヤーたちから寄せ書きをもらったり、最後の宅オフの日に参加者の方々がお別れ会を企画してくれたりして、人の輪が広がっていく感覚はありましたね。

いまだに付き合いのある方もいらっしゃいます?

takera いっぱいいますね。自分が競技として取り組む前から最前線を走っていたプレイヤー、一緒に強くなっていった人、逆に辞めてしまった人とか、色々いて。結果的に、自分はこの『スマブラ』界隈に9年ほどいるので、大会に行けば知った顔が多くなりましたね。

その中でも意識されている選手は?

takera 今でも時々宅オフをやっていて、近いところに住んでいる選手を呼んで小規模の対戦会を開いているんです。そこで何回も顔を合わせると、自然とそのプレイヤーの強さや脆さが分かってきたりして。意識するとはちょっと違った感覚ですが、大会でその人が負けていると、何だかモヤッとする気持ちになるというか。

戦友のような感じでしょうか?

takera 戦友や仲間、ライバルとはちょっと違う感覚ですね。強さを知っているからこそ、それが世間に正しく評価されてほしいなという気持ちがあるんです。もちろん、直接対戦する時は、上でありたいというのが一番ですが(笑)。

宅オフではそういったプレイヤーの輪が広がっていったと。takera選手は宅オフ以外にも大会の主催もされていますよね。自分で大会を開こうと思った理由をお聞かせください。

takera 宅オフもそうですが、環境を作るのが好きなんですよね。自分好みの大会や練習の状況を作れるのであれば、自分で作ってしまえというタイプの人間なので、大会も主催していたという感じです。

上手くなるための環境を作るためということですね。

takera そうですね。きっかけは自分のためですね。アメリカでは5年ほど前から平日の夜中に大会が開かれていたりしていたのですが、日本だとその文化がなくて、友人たちと「やりたいよね」と話していました。だから、平日の水曜日にスタジオを借りて、48人規模の大会を開催してみたんです。強いプレイヤーも沢山集まってくれて、自分にとっても参加者にとってもいい練習の場になったんじゃないかなと思います。

すごい行動力ですね。スタジオを借りてその規模の大会を開こうと思ったら、なかなか大変だと思いますが。

takera 大変ではありましたが、スイッチが入ると、好きなことであれば集中してやるタイプなので、苦に思わなかったですね。逆に、好きなことでないことはないがしろになったりしますけど……(笑)。

自分がやりたいと思ったらまずは行動してみると。

takera 思い通りに組みあがっていく感じが好きなんですよね。今後も何かしらいい企画が思いついたら積極的にやりたいなと思っています。

昔からそういうタイプだったんですか?

takera 多少その気質はあったかもしれません。ただ、子供の頃はバスケ部に所属していて、もともとあるコミュニティに参加することが多かったので、自分で行動して何かをするということはなかったですね。『スマブラ』界隈に入ってから、行動して形にしていくということの楽しさに出会ったという感覚はあります。

大事なのは自分の中にブレを生じさせないこと。勝負に臨む前の“整え方”

2020年3月に忍ismに所属されることになりますが、所属する前と後で心境の変化はありましたか?

takera 他の選手から、チームの看板を背負って大会に出場するのはなかなかプレッシャーがあるとよく聞いていたんですけど、自分は思っていたよりはプレッシャーに感じなかったですね。チームに所属して大きかったのは、格闘ゲームで前線を走っている方々と交流できたことですね。普段はやはり『スマブラ』界隈の方との交流が多いのですが、違う界隈の方々とお話しできたのは新鮮でおもしろかったです。

忍ismの選手の方々と交流して、何か変化はありましたか?

takera 自分も今年で29歳になりますが、その上の世代の方々が前線で走っているので、すごく励みになりますね。『スマブラ』界隈は若いプレイヤーが多くて、自分が年齢的に上になります。でも、自分よりも年齢が高いプレイヤーが他の界隈で活躍しているのを見ると、「自分もがんばらなきゃ」という気持ちになりますね。

忍ismに所属して、一番影響を受けた選手は?

takera 今年の3月にチームを離れてしまいましたが、ハイタニさんにはお世話になりました。もちろん、格闘ゲームがすごく上手い方ですけど、『スマブラ』プレイヤーのような感覚も持っていて、おもしろい方だなと。

他にも、ももちさんや藤村さんは、自分よりも“競技者“だなと感じられる部分があって。背中を見ているだけで安心というか、自分もがんばれる気になりますね。

忍ismに所属する前と後で変わった部分などはありますか?

takera 大きな変化はありません。むしろ、変わらなくても受け入れてくれたのがうれしいですね。ネットでの発言を指導してくださったり、番組にお声がけしていただいたりということはありますが、やりたいようにやらせていただいています。

競技シーンで勝つうえで、takeraさんが思う一番重要なことはなんですか?

takera 結局は技術だと思います。メンタルや胆力も重要ですが、土台の技術がないと勝つのは難しい。競技者として上を目指すなら、その技術を突き詰めるのが大事なんだろうなと思います。

「やり込みは嘘をつかない」という言葉もありますよね。

takera ただ、単純に量をこなすだけではダメだと思います。質の高い練習を積み重ねているプレイヤーが、伸びていくのかなと。もちろん、何が良くて、何が悪いかの判断は難しいところですが……(苦笑)。

試合前にやられるルーティンなどはあったりしますか?

takera 自分の中にブレが生じないように、しっかりと睡眠をとって体調を崩さないようにしたり、伸びた爪を切ったりしています。対戦する時に弊害がないようにしっかりと整えて臨むのが一番大事かなと思います。そのためにも、先ほどお話した技術の土台をしっかり作って整えておくことが重要かなと。

手の手入れ一つでプレイの感覚が変わるのでしょうか?

takera コントローラーを握ったときに爪が当たるだけで、そこに意識を取られてしまいます。それにリソースを割くのはもったいないので、手入れをしておくにはこしたことはないと思います。

プロ選手として活動される以外にも、配信も力を入れられていますよね。普段の配信でも身だしなみに気を使われていますか?

takera オフラインで対戦をする時は人前に出るので、ヒゲを剃ったり、毛先を整えたりして身だしなみに気を付けています。自宅での配信では、自分の顔は画面に小さくワイプを出しているだけなので、寝ぐせを直すぐらいですね。

ヒゲはtakera選手のトレードマークでもありますよね。毎日整えられているんですか?

takera こう見えて、意外と伸びてこないので、3日に1回ぐらいの頻度で手入れをするぐらいですね。

ヒゲの手入れは、カミソリや電気シェーバーを使って形を整えていくんですけど、どうしても長さが違う部分ができてしまいます。そういった部分を小型はさみで調整していきます。

実際にAUGER製品を使われて手入れされているんですね。使い心地はいかがですか?

takera 切れ味がとにかくすごくて、使いやすいですね。他にも爪切りを使用していますが、他の爪切りと比べて「強いな」と感じます。安い爪切りだと、足の固い爪を切る時に力を入れないといけないので、少し怖さがあるんですけど、AUGERの爪切りは弱い力でサクッと切れる。切れ味は本当にすごいと思います。

あと、今ちょうど髪を伸ばしているところなので、新製品のカチューシャやヘアバンドはうれしいですね。どの製品にも共通しているのですが、黒を基調としたデザインがすごくかっこよくて、すごく気に入っています。

ダメなときは1から構築しなおす。メンタルの強さのルーツは幼少期のスポーツ活動

takera選手は筋トレも趣味とお聞きしました。いつ頃から筋トレをされているのでしょうか?

takera コロナ禍が始まったぐらいですね。その頃はちょっと太り気味で、減量に併せて筋トレも始めたら、気づけばハマっていました。やることが限られるご時世だったので、たっぷりと時間を使って。多い時は週6回ぐらいジムに行って、身体を鍛えていました。

現在も筋トレは続けられているんですか?

takera 最近は鍛えすぎて身体を大きくなりすぎてしまって……(笑)。着たい服を着た時に、ちょっとピチッとしたぐらいが好きなので、今は筋トレを控えていて、身体を絞っているところです。

やる前とやった後では体力面に違いはありましたか?

takera 幼少期からバスケ部で活動していたので、もともと体力はあったと思います。筋肉が下にあってその上に脂肪がついてという状態だったので、少し絞るだけで見た目の印象が大きく変わったかなと。体力面ではそこまで変化は感じませんでしたが、集中力を保つために糖質を取るだとか、そういった知識もついたのが、すごく大きかったと思います。

メンタル面での変化はいかがでしょう?

takera 自己肯定感は高まったと思います。もともと自己顕示欲が高いタイプなので、大きく変化したという感じはないですが、朝イチでジムに行ってトレーニングをした後は、「今日の自分は無敵だ」と思いながら1日がスタートできる気がします。

格闘ゲーム然り、『スマブラ』の競技をやっていると、自分が昨日より強くなれているか、成長できているかはすごく不安なんですよ。一方で筋トレは、鍛えた分だけその成果が身体に現れる。積み重ねれば、今日より明日のほうが強くなれる。そこが自分に刺さった部分だと思います。

成長できているか不安になることもあるとのことですが、それを払拭するためにやられていることはありますか?

takera 自分は考えが固くなってしまう、視野が狭くなる人間だと思っていて。だからこそ、本当に詰まったらシンプルなところから考え直すようにしています。そこで考えを1から組み立てて、これはいい、これはダメと取捨選択をしながら、自分のベースを新しく作って、また走り出すということを何回もやっていますね。

自分のベースを新しく作り直すのは、すごく大変そうですね……。

takera 自分を構築しなおすのはすごくパワーがいると思います。ただ、そこに疑心暗鬼になってしまうとすべてが不安に思えてしまう。だから、ちゃんと考え直したほうが走りやすいかなと思います。

自分の成長が感じられなかったり、なかなか試合に勝てなかったりという時期はありましたか?

takera 苦しい時期は今まで何度もありました。その時は深く考えすぎてもダメだと思うので、「どうしたらいいか分からなくなったらもっとやる」という感じで乗り越えてきました。それこそ1から全部考え直したり、ひたすら練習を積み重ねたりして。それが良かったのか、長期間、詰まるという経験はなかったと思います。

これまでで一番辛かったのは、海外の大会に招待されて参加した時に、予選の早期で負けてしまい、厳しい道のりを進むことになったときですね。支援を受けてまで海外に渡ったのにも関わらず、思うように結果が残せなくて、すごくメンタル的にまいりました……。

そういうメンタルがやられている時はどうするのでしょうか?

takera 自分の場合は、無理やり突破することが多いですね。ダメな時は「もっとやろう」と、とにかく量をこなして乗り越えてきました。

すごい精神力ですね。幼少期の頃にバスケ部に所属していたとのことですが、そのメンタルの強さはそこで培われたんですか?

takera バスケ部の経験が活きているとは思います。小学4年生から21歳で本格的に『スマブラ』を始める前まで、ずっとバスケをやっていました。とくに、高校生の時はスポーツ校で、かなり厳しい環境で続けていて。もちろん、辛いことも沢山ありましたが、メンタル的に落ちている時に踏ん張れたり、他の人に負けたくないとがんばったり、そういったところは長い部活生活で、自然と培われた部分かなと思います。

学生時代のスポーツ経験が今も活きていると。

takera 前線を走っているプレイヤーの中には、僕みたいなスポーツ系の部活出身という人も少なくないんですよ。僕の周りの上位プレイヤーたちも3分の2ぐらいは、どこかでスポーツに触れていて、負けず嫌いな一面を持っていたりします。

では最後にプロ選手としての今後の抱負をお聞かせください。

takera 競技者として、少しでも上にいけるようになりたいですね。『スマブラ』の大会は3ヵ月に1回ぐらいの頻度で大きめの大会が開かれて、それに向けて集中して練習を重ねていっています。そういった大会の結果をもとにランキングが変動する、有志が作ったポイントランキングのようなものがあるのですが、今はそのランキングで国内10位以内を目指しています。自分より上がいる以上、辞める理由はないので、とにかく走り続けようと思っています。

競技者としてあくまでも上を目指すと。

takera 選手としての活動以外にも運営側としても何かしらやれればなと。『スマブラ』の新作が発売されてからしばらく経っていて、このまま何もしなければ界隈がしぼんでいくかもしれない。『スマブラ』界隈を盛り上げていくのもプロの仕事だと思っていて、自分の生きる場所を自分で盛り上げなきゃいけないという使命感はあります。ですので、自分にとって熱が入るものがあれば、別口の企画などもやってみたいなと思います。

takera

“忍ism Gaming”所属の『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズの選手。プロ選手として大会に出場するだけでなく、自宅にプレイヤーを招いて対戦を行う“宅オフ”、大会の主催なども行う。配信活動にも力を注いでおり、日々、さまざまなゲームの配信を行っている。