ゼロからイチへ、オリジナルなものを作り出していく、その前段階。クリエイターたちはどういった過ごし方をしているのだろうか。自分と向き合うこと、そこから生まれる歓び。その向き合う直前にある時間/行為こそ、知りたくなる。
AUGERの主催する、完全招待制の音楽イベント『AUGER MUSIC SESSION VOL.2』が来たる7月20日(木)に下北沢ADRIFTにおいて開催されるが、それに先駆けて、本イベントにスペシャルゲストとして出演するimaseに加えて、新東京、YAMORIという出演者3組による鼎談を行なった。AUGERの大切にする「整える」「自分と向き合う」といった部分から、『AUGER MUSIC SESSION VOL.2』に向けてまでさまざまに語らり合う、笑い声の絶えない時間となった。
─imaseさんはAUGERのブランドコンセプトである「Kiss our humanity – 心に触れて“整える”時間」をテーマに楽曲「ピリオド」の制作もされました。改めてAUGER製品の印象を教えてください。
imase:ブランドコンセプトがまずカッコいいですし、製品にもしっかり統一感があって。普段の生活からセットで置いていてもすごくカッコいいですよね。中でも爪切りは、切れ味もよくて使い勝手がよくて愛用しています。
※「ピリオド」に込められた思いやMV撮影の裏側に迫った記事はコチラからご確認いただけます。
─新東京の皆さん、YAMORIさんはAUGER製品についてどのような印象を持っていますか?
杉田春音(新東京 / Vo):ブランディングの方針が一貫していて素敵ですよね。刃物メーカーだから技術力でちゃんと裏打ちしているのもすごく素敵。自分たちも、バンドの雰囲気をちゃんと演奏力や曲の良さで裏打ちしないと価値が生まれないという信念で活動しているので、そこに共通するものを感じています。
YAMORI:貝印さんの関孫六の包丁は飲食に携わっていたときに愛用していました。AUGERはまだ使ったことがないのですが、今回のお話をきっかけにいろいろ拝見しました。洗練されていてファッショナブルなデザインがすごくカッコよくて、洗面台のインテリアにもなりそうなので、イベントまでにゲットしたいなと思います。
─AUGERが大切にしている「自分と向き合う」という行為/時間。皆さんはどんなときに自分と向き合っていると思いますか? また自分と向き合うことで生まれるものはどのようなものですか?
田中利幸(新東京 / Key):僕が自分と向き合っているのは、やはり曲を作っているとき。例えば自分が過去に作った曲を聴き直して「こんな流れで作っていたんだ」と思ったりする。そういう時間が自分と向き合っているということになるんじゃないかなと思います。僕はインプットよりもアウトプットをして成長していくタイプなので、自分が過去に作った曲を聴いていると「昔はこうだったんだな」とか「ここがいいな」と、客観的に自分を振り返ることができる感覚があります。
YAMORI:「自分と向き合っている時間を作っている」という感覚はないですが、僕は普段から自分のことばっかり考えてしまっているところがあって。別に自己肯定感が高いとか自分が大好きとかそういうことではないですが、自分のことを考えてあげる時間は、たぶん無意識にたくさん取っていると思います。例えばこうやって会話していて、自分が話していない間にも「何でさっきあんなふうに言ったんだろう」とかを考えますし。電車の中で聞こえた会話から自分が何かを感じたら、それをメモったりもしています。それが直接、音楽になるわけじゃなくても、そういうものが積み重なって、自分が作る音楽にまとわりついていっているのかなと思います。
imase:僕は自分のことを考える時間を作ると落ち込んでしまうときがあるので、あまり考えないようにしています。とはいえ、振り返る時間も大事だと思うので、そういうときはお風呂で考えます。最近は湯船に浸かるようにしているので、湯船に浸かってリラックスできるタイミングで考えるようにしたり。
─そのときは落ち込まず、リラックスしながら考えられる?
imase:どんどんテンションが下がって、リラックスできないときもあります(笑)。
YAMORI:めっちゃわかる。俺も銭湯でシャワーを浴びているときに急に昔の恥ずかしかったこと思い出したりする(笑)。そういうときはストレッチしたり、サウナに行ったりして忘れます。
imase:わかる(笑)。でもそうやってリアルにネガティブになっているときのほうが、曲が作れたりもするので……まぁほどほどに(笑)。
YAMORI:それこそimaseくんも新東京も歌詞を読むと結構ネガティブな部分が出ていますけど、個人的にはそこが嘘くさくなくて好きです。
杉田:確かに僕の書く歌詞はほとんど暗いですね(笑)。幸せ過ぎると生み出すものに求心力が無くなる気がしていて。どうしようもなく辛いときとか、ネガティブなときのほうが制作意欲が湧くし、そういうときのほうがエネルギーが強い気がする。作詞と、自分の気持ちの整理を並行してやっている感じはしますね。
imase:わかります。それが果たしてメンタル的に健康なのかはわかりませんが(笑)。あとはネガティブな部分が見えたほうが、ポジティブが光るとも思っていて。さっきYAMORIくんが言ってくれたように嘘くささもなくなりますよね。
─ライブの日に行う“整える”ためのルーティーンがあれば教えてください。
田中:僕は練習中あえて爪を伸ばしておいて、ライブの直前で爪を切ります。なぜかと言うと、僕はキーボードなのですが練習のときにうまくいかなかったとしても、伸ばしておけば爪のせいにできるから(笑)。「俺は、この長さのぶん、上達できるんだ」と心の余裕を残しておくんです。本来は本番と同じ環境で練習すべきなんですけどね(笑)。
大倉倫太郎(新東京 / Ba):僕は逆に、常に限界まで爪を短くしています。ライブのときは特に、深爪なんじゃないかと思うくらいギリギリまで短くしています。ベースなので、爪が長いと邪魔でうまく弾けないんです。
田中:本当に短いんですよ。それを見ながら「俺はこの(伸ばしている)分、伸びしろがある」と思っています(笑)。
保田優真(新東京 / Dr):僕はめちゃくちゃ緊張しいで。それを解消するためにどうしたらいいかを考えていろいろ試しているところです。最近やっているのは、体にめっちゃ力を入れて、ライブの直前に抜くということ。あとは直前に腕立て伏せをしたりして、ちょっと疲れさせたり。運動など、別のことで心拍数を上げると意外とリラックスできるんです。といってもまだ実験段階で、何がいいのかいろいろ試しているところです。
杉田:なんか俺ら全員、回答がちょっとずれてない?(笑) ……と言いながら、僕はルーティーンがないんですけど(笑)。意識するとナーバスになってしまうので、ギリギリまでみんなでごはんを食べたりして、なるべく普通に過ごして。「気付いたらライブが始まってる」くらいの感じにしています。あえて普段と何も変わらないように過ごす、ということをルーティーンにしているんだと思います。
YAMORI:自分は、ちょっと前まではトイレの中でMOROHAを爆音で聴いてバーニングさせるといいうのがルーティーンだったのですが、それをやり忘れた日があって。それまではシリアスに攻めるようなライブをやっていたんですけど、やり忘れた日はラフめな感じになったんですね。でもそれが逆に良くて。以降は、ピアノの音が「ポンッ」「チューン」と鳴っているような、ポストクラシカルを聴いて深呼吸するのがルーティーンになりました。それで1回“無”になってからライブに挑んでいます。
imase:僕もリラックスするのが大事かなと思って、ストレッチをしています。副交感神経が優位に働いていると声もよく出るようなので、ストレッチして体と心をリラックスさせます。あとは緊張しないように「シンプルに楽しもう」と考えるようにするくらいかな。
─『AUGER MUSIC SESSION VOL.2』は「“身だしなみを整える時間”を豊かで心地よい時間にすること」がテーマです。当日、普段のライブとは変えようと思っていることや今回のライブで特に大切にしようと思っていることがあれば教えてください。
imase:僕はいつもとは少し違うことをしようと思い、アコースティックアレンジの曲を何曲かやりたいなと思っています。自分を見つめ直して、今までやっていなかったことを考えたら、アコースティックアレンジでのライブを思いつきました。「整える」というテーマにも合うんじゃないかな。
杉田:僕たちはまだ考えられていないのですが……いつもとにかく次々と曲をやるライブを展開しているんですが、その曲の繋ぎで各々が自分を見つめ直す時間にできたらいいのかなと。楽器陣のソロ回しや曲と曲の繋ぎはいつも神経を使って設計しているので、招待制ライブならでの普段とは違うアレンジができたらと考えています。
YAMORI:僕は機材を使って一人でライブをすることが多いのですが、この日はサポートにピアノを入れて、ちょっと幅を利かせた感じでやろうかなと思っています。やることはいつもとは変わらないですけど。というのも、最近はちょっとサウナの温冷交代浴的なことをライブでも取り入れるようにしているんです。熱い曲をやったら、そのあとにクールダウンさせたりして。“ととのう”つながりで、今回もそこは意識してライブしようと思います。
─そのほかに当日楽しみにしていることはありますか?
imase:僕は対バン形式のライブをあまりやったことがないので、対バン形式のライブが楽しみですね。YAMORIさんのビートボックスを生で聴くのも楽しみだし、新東京さんの音楽を生音で聴けるのも楽しみ。
杉田:もちろん2組を含めて、共演者のライブを見られるというのも楽しみですし、あとは招待制であることも楽しみ。普段とは違う空気感だと思うので、その空気感も楽しみながらライブができたらと思っています。
YAMORI:自分がいるシーンは結構先輩が多くて、同世代との対バンというのが滅多にないんです。過去に一度、偶然同世代が集まったライブがあったんですけど、それがめちゃくちゃ楽しかった記憶があって。なんか“年が近い”というだけで意識しちゃうんですよね。「先輩だからすごい」って納得できないから、すごかったらそれを受け入れるしかないという負けられない感じもあるし。シンプルに、裏でワイワイやってステージでかます。それが楽しみですね。
Photography_Ryuichi Taniura, Text_Chie Kobayashi
【AUGER MUSIC SESSION VOL.2】
[日時] 2023年7月20日(木) ※完全招待制(応募期間は終了いたしました)
[時間] 開場17:00 / 開演18:00 / 終演予定21:30
[会場] ADRIFT(東京都世田谷区北沢3-9-23)
[出演]
LIVE:imase(Special Guest) / Furui Riho / 新東京 / YAMORI
DJ:YonYon / DOMMY / Shun Izutani(Re.)
会場演出:MIRRORBOWLER
LIVE PAINT / ARTWORK: Aitone
[主催] 貝印株式会社
ABOUT AUGER®
忙しい朝も、穏やかな夜も、人間らしさを取り戻す。身だしなみを整える時間は、自分と向き合う時間でもあります。自分の心に触れて日常を整えると、普段の何気ない時間が愛おしくなる。AUGERが提供したいのは、暮らしを「整える」心地よい豊かな時間です。