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プロスケーターであり僧侶。奥野健也が説く「準備の大切さ」

ゼロからイチへ、オリジナルなものを作り出していく、その前段階。クリエイターたちはどういった過ごし方をしているのだろうか。自分と向き合うこと、そこから生まれる歓び。その向き合う直前にある時間/行為こそ、知りたくなる。

今回、取材を行った奥野健也は、プロスケーターとして活躍しながら、家業の寺を継ぐために一度引退表明したのち、慶應義塾大学大学院でMBA取得後に家業の寺に入り、副住職を務める一方で再びプロスケーターとしても復帰する。という異色の経歴を誇る存在だ。AUGER®×INSPIRATION CULT MAGのコラボレーションにより奥野健也座禅体験+荒木塁写真展という内容で行われた「整える。研ぎ澄ます。触れる。」イベントの会場となった三聖山 慧然寺において奥野をキャッチし、「整える」について訊いた。

—今回のイベントでは、奥野さんの指導による「整える」ための座禅体験もありました。座禅を通して伝えたいこととは。

大きく捉えると、座禅をすることは、静かな心、穏やかな心で自分自身と向き合う、ということかなと思います。最近なかなかそういう時間をとれない人も多いからか、座禅の人気が高まっている。座禅を通して、自分自身と向き合って、その先の道を定めていくという行為はとても大事かなと思います。日常のルーティーンの中にぜひ取り入れて欲しいなという思いはありますね。

—座禅をする際のコツってあったりするんですか?

宗派や考え方によっても違うんですが、大きく2つに分けると、1つは座禅中に頭を働かせて考えて考えて、答えを導くもの。そしてもう1つが、何も考えず「無」の境地を目指す。僕らの宗派では後者を目指しています。「無」になることは簡単なようで実はすごく難しいんです。座っているとすぐ何かしら考えが浮かんでしまうので、なるべくその思考を断ち切るようにする。例えば「今日このあと何を食べようかな、和食にしようかな、洋食にしようかな、和食にするんだったら材料はどこで買おうかな」と思考は枝分かれで進んでいくと思うんですけど、その思考をなるべく手前で「まあ今はいいや」と断ち切る。座禅を初めてする方には、思考を断ち切ることが無に近づいていくコツであると伝えるようにはしています。「無」になることって日常ではなかなかないですし、それによって頭もクリアになる、というのが我々の座禅の魅力だと思っています。

—AUGER®アイテムの印象も聞かせてください。

第一印象は、デザインがシックでクールだなと。各アイテムのデザインが統一されているのも良いですよね。AUGER®のカミソリとツメキリ(M Standard)は今朝も使ってきましたが、ヒゲを剃ったりツメを切ったりすると気持ちがリセットされる。さらに使い心地がいいから、一日のはじまりを整えて始められる。

僧侶はカミソリで髪を剃る機会が多いので、カミソリの切れ味にはこだわりがとても強いんです(笑)。AUGER®のカミソリは切れ味が良く、長持ちするので修行時代の仲間にも勧めました。

—ありがとうございます! 奥野さんにとっての「整える」ためのルーティーンがあれば教えてください。

ルーティーンというわけではないですが、お寺の仕事でいうと、葬式や法事といったお勤めをさせて頂くにあたって準備がいろいろあるんですね。お勤め自体は30分から1時間で終わることが多いのですが、その準備をしっかりやることでお勤めがスムーズにできる、というのはあります。準備という部分も必要不可欠な職業ですかね。スケートボードの方は、撮影のある日は朝から気持ちをめちゃくちゃ上げていきます。お風呂に入ってストレッチをして身体をほぐしたり、音楽を聴いたりしながらイメージして臨みます。

—スケートボードと僧侶の両立というか、バランスはどうとっているんですか?

スケートの練習や撮影をして心も身体も興奮している後に、お勤めがあることも多く、気持ちや頭の切り替えは結構難しいものがあります。ただ着物を着るとスッと気持ちが落ちついてそのモードになる、というのはあります。あとは、移動中の車を運転しているときに気持ちを切り替えたりしますね。いつもは音楽を聴いて移動するのですが、お勤めの前は音楽を消して心を落ちつかせて、仕事に集中するようにしています。

—座禅に話は戻りますが、座禅とは自分自身と向き合う行為だとおっしゃっていましたが、スケートボードも自分自身との戦いという点では共通していますよね。

はい、スケートは自分との戦いですね。特にスケート映像を撮るときは、自分の最大限のスキルやアイデアを発揮しなければ認められませんし、今までやったことのない技をトライすることもあるので恐怖心との戦いですね。ただ自分超えをした時は仲間と最高の気持ちを分かち合って称え合う。その瞬間があるからやめられません。

—自分超えを目指して、恐怖心に打ち克つために実践していることとは。

徹底的に自分を追い込みますね。「こんなのが出来なかったらみっともない」というように自分にプレッシャーをかける。あとは、なるべく事前に情報は集めるようにはしています。場当たりで対応するのがあまり得意ではないので、スポットの写真を見たり、動画を見たりしてイメージをしていく。自分超えをするための準備は大切にしています。他のスケーターより準備はする方だと思います。

—今回のコラボレーションを振り返って、どうでしたか。

僕のアイデンティティの中で、「スケートボード」と「僧侶」というのは大きいのですが、この2つをうまく組み合わせられるような表現の仕方がずっと見つからなかったんです。スケーターとお坊さん、と紹介すると皆さん「凄いね!」「じゃあ着物と袈裟を着てスケボーに乗って撮ったらかっこいいじゃん」って言ってくれるんですけど、そういう簡単なことじゃないというか(笑)。それぞれの本質的なかっこよさを掛け合わせて形にできたら、という思いはあった中で、今回のコラボレートは、AUGER®の世界観を通して「スケートボード」と「僧侶」の両方のコアな部分を見せることのできた、本質的な表現ができたものになったかなと思っています。素晴らしい機会を頂いてありがとうございます。

Kenya Okuno: ICM SB | ICM SKATEBOARDING
AUGER®×INSPIRATION CULT MAGによる“整える。研ぎ澄ます。触れる。”スペシャルムービー

Photography_Kayoko Yamamoto, Edit&Text_Takuya Nakatani(DEGICO)

ABOUT AUGER®

忙しい朝も、穏やかな夜も、人間らしさを取り戻す。身だしなみを整える時間は、自分と向き合う時間でもあります。自分の心に触れて日常を整えると、普段の何気ない時間が愛おしくなる。AUGERが提供したいのは、暮らしを「整える」心地よい豊かな時間です。

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