料理好きなら一度は持ちたい!「鋼(ハガネ)の包丁」の魅力とは?

料理好きなら一度は持ちたい!「鋼(ハガネ)の包丁」の魅力とは?

料理に欠かせない相棒といえば包丁。毎日使うものだからこそ、とっておきの1本を選んでみるのはいかがでしょうか? 

包丁の素材は料理の際に大きく影響するため、選ぶ際にはしっかりチェックしたいところ。今回は切れ味に優れ、多くのプロにも愛用される「鋼(ハガネ)の包丁」をご紹介します。
さらに鋼の種類からおすすめの包丁、簡単にできるお手入れ方法についてもお伝えします。

「ステンレスの包丁を使っているが、鋼の包丁も購入を検討している」「自分で研いで良い包丁を長く使いたい」という方はぜひ読み進めてくださいね。

包丁の素材にはさまざまな種類がある

包丁の素材にはさまざまな種類がある

デパートやショッピングセンターでズラリと並ぶ包丁に圧倒されたことのある人も多いのではないでしょうか?包丁には洋包丁・和包丁・中華包丁など幅広い種類があるうえ、刃の素材もさまざまです。

刃の材質の代表格といえるのが鋼(ハガネ)、ステンレス、セラミック、チタンがあります。

近年ではお手入れのしやすさから一般家庭ではステンレスが人気を呼んでいますが、プロの料理人は鋼(ハガネ)の包丁を使う人も多く、料理にこだわる方には高い人気があります。ステンレスの方が鋼に比べ錆びにくいのに、なぜ鋼の包丁を使うのか、疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。

次項からはそんな鋼を深掘りして解説していきましょう。

鋼(ハガネ)とは

鋼(ハガネ)は鉄と炭素の合金で、別名で炭素鋼(たんそこう)とも呼ばれています。

そもそも鉄は炭素を含む量によって、「鉄」「鋼(ハガネ)」「鋳鉄(ちゅうてつ)」に分けられていて、各素材の炭素含有量は以下の通りとなっています。

炭素含有量
0.02%以下
鋼(ハガネ)0.02〜2.1%
鋳鉄(ちゅうてつ)2.1〜6.7%

上記のように、炭素含有量が0.02〜2.1%のものが鋼として扱われますが、包丁には0.4〜1.2%が適しています。

また正確にいうと、鋼(ハガネ)には炭素の他にケイ素、マンガン、リン、イオウが含まれています。これらは「鋼の五元素」と呼ばれ、含有量によって鋼の性質は異なってきます。「鋼の五元素」の働きは以下の通りです。

五元素記号働き
炭素C硬さ、強度を増す最も重要な元素
ケイ素Si硬さ、強度を増す元素だが、炭素の効能の1/10程度
マンガンMn焼入れ性を良くする元素
リンP有害な元素で、寒い時に鋼をもろくさせる(0.04%以下に限定)
イオウS有害な元素で、赤熱状態の時に鋼をもろくさせる(0.04%以下に限定)

良質の鋼(ハガネ)の包丁は硬度が高く切れ味に優れ、多くの料理人にも愛用されています。一方で、非常にサビやすいため、毎日のお手入れが欠かせないという一面も。水分の多い食材や水滴への配慮だけでなく、果物などの酸性度の高い素材を切るときにも注意が必要です。

鋼(ハガネ)の素材の種類

鋼(ハガネ)の素材の種類

ひと言で鋼(ハガネ)といっても、種類は実にさまざま。JIS規格で定められている「SK材」や、高品質な「ヤスキハガネ」など多種多様です。ここでは代表的なものをご紹介していきます。

SK材

SKとは「Steel(ハガネ)」と「Kougu(工具)」の頭文字をとった略称で、炭素工具鋼とも呼ばれています。炭素含有量は0.55〜1.5%で、クロムやモリブデンといった合金元素を添加していない高炭素鋼であるのが特徴です。

SとKの後に続く数字は炭素含有比率である場合が多く、例えば「SK80」ならば約0.8%の炭素を含んでいることを示しています。

ヤスキハガネ

株式会社プロテリアル(旧日立金属)で生産される鋼材です。物性、ひいては切れ味に悪影響を及ぼすリンやイオウなどの不純物の量が極めて少ないのが特徴。硬度や成分などによって黄紙、白紙、青紙をはじめ細かく分類されます。

黄紙

ヤスキハガネのベースとなる素材です。かつて、他の鋼材と区別するために目印として黄色い紙が貼られていたことがその名の由来です。

白紙や青紙と比べると不純物が多いですが、切れ味が良く、安価なため主に家庭向けの包丁に使われています。

【その他の表記】
黄紙鋼、黄鋼など

白紙

黄紙からさらに不純物を取り除いた鋼材です。炭素含有率が高いため、切れ味が鋭いうえ硬度や耐摩耗性にも優れています。黄紙同様に、他の鋼材と見分けるため白紙が貼られたことから名付けられました。

炭素含有量により白紙1号(1.25〜1.35%)、白紙2号(1.05〜1.15%)、白紙3号(0.80〜0.90%)というグレードに分けられます。

【その他の表記】
白紙鋼、白鋼など

青紙

白紙にクロムとタングステンなどを加え、より熱処理特性や耐摩耗性を強化させた高級鋼です。ヤスキハガネのなかでは切れ味に優れているものの、研ぎにくいというデメリットもあります。

炭素含有量により青紙スーパー(1.4~1.45%)青紙1号(1.25〜1.35%)、青紙2号(1.05〜1.15%)といったランクに分類されます。青紙は、切れ味や持続性が非常に優れていますが、硬いので扱うのが難しく、慣れていないと研ぎ直しも容易ではありません。

黄紙、白紙と同じく、他の鋼材と区別するために青紙が貼られていたことがその名の由来と言われています。

【その他表記】
青紙鋼、青鋼など

鋼とステンレスの違い

鋼とステンレスの違い

鋼(ハガネ)とステンレス刃物鋼の違いは、含有するクロムの量にあります。

ステンレス刃物鋼は国際規格、日本産業規格(JIS)ともに、「クロム含有量が10.5%以上、炭素含有量が1.2%以下の鋼」と定義されています。
クロムが鋼材の表面に密着性のある酸化保護膜を形成するため、錆びにくいのがステンレス刃物鋼の特徴です。

なお、ステンレスという名前の語源は、英語のstain(サビ)+ less(〜ない)を足したものとなります。

鋼のメリット

鋼のメリット

前述のとおり、鋼(ハガネ)と一言にいっても素材の種類は様々です。

優れた包丁を広くたくさんの方に使っていただくために、様々な構造をもった刃体が製造されています。古くは日本刀の構造が取り入れられてきましたが、近年では異素材を適材適所に組み合わせ素材の効率的な使用をすることで、より研ぎやすくお手入れのしやすい包丁がつくられています。

自分にあった包丁を選ぶには、包丁の構造も知っておくとよいでしょう。

包丁の構造

単層材

一種類の金属(刃材)のみで構成されている包丁を単層材といいます。洋包丁に多くみられます。
一種類の金属(刃材)のみで構成されているものの、熱処理の仕方で違う硬さを備えるものもあります。和包丁に多くみられ、本焼(ほんやき)と呼ばれています。

複合材

二種類以上の金属(刃材)のみで構成されている包丁を複合材といいます。
複合材には主に二層鋼と呼ばれるものと、三層鋼と呼ばれるものがあります。

二層鋼は、硬い金属(鋼)と柔らかい金属(軟鉄)を貼り合わせて重ねた二枚構造もので、主に和包丁(片刃包丁)に多く「合わせ」とも呼ばれます。

三層鋼は、硬い金属を柔らかい金属で挟み込む三層構造のもので、主に洋包丁(両刃包丁)に多く「割り込み」とも呼ばれます。

鋼材や刃体の組み合わせ方によってできる「ハガネの包丁」は多岐に渡ります。多様であるからこそ、自分にあった一丁がみつかるという方もいるでしょう。
とくに、料理を仕事にしている方は、こまめに研いだりメンテナンスを行うため、比較的研ぎやすい鋼を好む方もいます。

鋼のメリット

鋼(ハガネ)とステンレスの包丁の最大の違いは、サビ・腐食への耐性と、研ぎやすさにあります。現代において家庭で気軽に使うには手間がかかる面が多いため、ステンレスに比べ家庭用包丁としての普及率は高くはなく、料理人などが業務用包丁として使用する場面が多いのです。

しかしながら、古来から包丁の刃材として使われる鋼にロマンを感じたり、魅力を感じる方も多いでしょう。ステンレスと比較すると手間がかかるため、毎日の料理に使う包丁としては不向きですが、工業用品としてつくられることが多いステンレス包丁に比べ、表情やあじわい、手作り感のある工芸品としての魅力が、鋼の包丁にはあります。

また、砥石で研ぐ際に「砥石に乗る感じ」を感じたい方、研ぐ楽しさや気持ちよさを求める方は鋼の包丁の方が良いでしょう。
趣味の相棒として大切に使う方には、鋼(ハガネ)の包丁がおすすめです。

関孫六 和包丁(青紙鋼)

刃体にヤスキ鋼(安来鋼)の青紙、ハンドルに天然木を用いたシリーズ。熟練の職人の手により一丁一丁、丁寧に仕上げられ、鋭い切れ味と切れ味の持続性を兼ね備えています。

柄には高級感があり水に強い天然木(朴など)を使用し耐久性を実現しています。口金は堅牢で耐久性と耐水性に優れた高級素材の水牛製を採用。丸魚を捌くのに適した出刃包丁やお刺身を引く柳刃包丁、ともに刃渡りのバリエーションが充実しています。

青紙鋼ダマスカス包丁もございます。
関孫六 和包丁(青紙鋼)のラインナップは以下のとおり
関孫六 和包丁(青紙鋼)

出刃(150mm、165mm、180mm、210mm、240mm)、柳刃(210mm、240mm、270mm、300mm)

出刃ダマスカス(150mm、165mm、180mm)、切付ダマスカス(240mm、270mm)、柳刃ダマスカス(270mm、300mm、330mm)

関孫六 和包丁(白紙鋼)

刃体にヤスキ鋼(安来鋼)の白紙、ハンドルに天然木を用いたシリーズ。熟練の職人の手により一丁一丁、丁寧に仕上げられ、鋭い切れ味と研ぎやすさを兼ね備えています。

柄には高級感があり水に強い天然木(朴など)を使用し耐久性を実現しています。丸魚を捌くのに適した出刃包丁やお刺身を引く柳刃包丁、ともに刃渡りのバリエーションが充実しています。

関孫六 和包丁(白紙鋼)のラインナップは以下のとおり
関孫六 和包丁(白紙鋼)

出刃(150mm、165mm、180mm、210mm、240mm)、柳刃(210mm、240mm、270mm、300mm)、薄刃(180mm)

関孫六 和包丁(金寿本鋼)

伝統の鍛造製法による本格ハガネ和包丁のシリーズ。

刃材にはハガネ複合材を使用。ハガネに軟鉄を合わせて叩き上げた、強靭な刃身が特長です。ハガネの特性の切れ味と研ぎやすさを実現しています。
刃付けは非常に細かい砥石で繊細な刃付けが可能な湿式平前刃付け。砥石に水をかけながら 行うため摩擦熱による硬度ドロップを回避できます。

口金には堅牢で耐久性と耐水性に優れた水牛製を採用。

関孫六 和包丁(金寿本鋼)のラインナップは以下のとおり
関孫六 和包丁(金寿本鋼)

出刃(105mm、150mm、165mm、180mm)、刺身( 210mm、240mm)、薄刃 165mm

関孫六 洋包丁(10000CC)

日本古来より伝わる鋭い切れ味を特長とした鋼材を使用し、現在の生活様式を反映したこだわりのシリーズ。

芯材にカーボン含有率の高いハガネを採用し、両側からサビにくいステンレスで挟むことで、ハガネの特性である切れ味を残しつつメンテナンス性が向上。
重量バランスの良い本通し構造と、丸みを帯びた積層強化木ハンドルの組合せは、手に馴染みやすく自然な握り心地で快適な調理がお楽しみ頂けます。

関孫六 洋包丁(10000CC)のラインナップは以下のとおり
関孫六 洋包丁(10000CC)

三徳 165mm、小三徳 145mm、牛刀 180mm、牛刀 210mm、ペティ 120mm

関孫六 洋包丁(桃山)

ハガネの特性が活きる本割込み。ステンレスのメンテナンス性の高さを融合したハガネ三層鋼で、鋭い切れ味と研ぎやすさにこだわった本格派シリーズです。高級感があり強度にも優れた積層強化木を使用。丸味のある形状でフィット感にも優れています。堅牢性に優れ、長時間使用しても疲れにくい重量バランスの良い本通し仕様です。

関孫六 洋包丁(桃山)のラインナップは以下のとおり
関孫六 洋包丁(桃山)

三徳 165mm、小三徳 145mm、牛刀 180mm、牛刀 210mm、ペティ 120mm

関孫六 洋包丁(安土)

ハガネの特性が活きる本割込み仕様。鋭い切れ味と研ぎやすさにこだわったシリーズです。柄には耐熱性に優れた樹脂ハンドルを採用しています。

関孫六 洋包丁(安土)のラインナップは以下のとおり
関孫六 洋包丁(安土)

三徳 165mm、小三徳 145mm、牛刀 180mm、菜切り165mm、ペティ 120mm

鋼の包丁のお手入れ方法

鋼の包丁のお手入れ方法

鋼の包丁はメンテナンスを怠るとサビが発生しやすく、気付いたら「サビだらけ!」なんてことも珍しくありません。ここでは誰でも簡単にできる鋼の包丁のお手入れのコツをお伝えします。

毎日のお手入れ

調理する際は常にまな板の近くに布巾を置き、食材を切りながら適宜刃についた水分等を取り除くのが理想です。調理後は、すぐに汚れをしっかり落とします。
すすぎの仕上げとして刃の両面に熱湯をかけ、刃体や柄の水分等をよく拭き取りましょう。風通しがよい場所に保管することで、サビの発生をより防ぐことができます。

状態に合わせたメンテナンス

切れ味をキープするためには、毎日のお手入れに加え、包丁の状態に合わせて適宜、包丁を研ぐことをおすすめします。

包丁を研ぐ場合には、角砥石、簡易砥石(シャープナー)、電動研ぎ器など様々な研ぎ方があり、さらに角砥石一つとっても和包丁と洋包丁では研ぎ方も違います。

自分のスタイルにあったメンテナンス方法を見つけましょう。

貝印公式YOUTUBEチャンネル「切れ味チャンネル」では、貝印の包丁を知り尽くした包丁マイスターが角砥石を使った研ぎ方を分かりやすく動画でご紹介しています。ぜひチェックしてみてください。

林泰彦の研ぎの秘伝書【和包丁編】片刃の包丁を研ぐためのポイントを解説 & 実践!【関孫六】

包丁を買うなら貝印公式オンラインストアが便利!

包丁を買うなら貝印公式オンラインストアが便利!

鋼の包丁を購入する場合は、オンラインストアが便利です。
店舗で包丁を購入すると、自宅まで持ち帰るまでにかさばったり、持ち運びに気を使うこともあるでしょう。

オンラインストアを利用すれば、インターネットで注文をするだけで自宅に包丁が届くため、トラブルの心配はありません。
さらに、オンラインストアは店舗に比べて品揃えが充実しており、多くの商品のなかから自分の好きな包丁を選ぶことができます。

当然ですが、オンラインストアの場合、店舗までわざわざ足を運ぶ必要もないので、営業時間を気にすることなく24時間好きなタイミングで包丁が購入できるため、忙しい人にも相性がよいです。

さらに、貝印公式オンラインストアなら、鋼(ハガネ)の包丁はもちろん、メンテナンスのための砥石やシャープナーも取り揃えています。
「幅広いラインナップの中から自分のハガネ包丁を見つけたい」「包丁だけでなく、砥石も一緒に購入したい」とお考えの人は、ぜひ貝印公式オンラインストアを活用してみましょう。

また、貝印公式オンラインストアでは、刃物のプロ「包丁マイスター」による研ぎ直しサービスも行っているので安心です。

研ぎ直しサービスはこちら

まとめ

まとめ

いかがでしたか?寿司店や日本料理店をはじめ、多くの料理人にも愛用されている鋼の包丁。錆びやすい性質でステンレス製の包丁よりも扱いが難しい点もありますが、正しい使用方法とメンテナンスを行えば、こだわりの料理に欠かせない一丁になるはず。この機会に、一生モノとして使える料理の相棒を探してみてはいかがでしょうか。

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