PROCESSOPHTHALMIC KNIVES
眼科メスの製造工程
プレス
テープ状になったステンレスの材料をプレス機に乗せて外形を打ち抜く。打ち抜いた材料は、またコイル状に巻き取られ、次の工程に送られる。
熱処理
熱処理前のステンレス鋼は決して硬くはない。そこで、プレス工程を終えた鋼材を、約1000度の温度に加熱し、急冷することで、鋼材の組織が変化し硬くなる。その後、約200度に加熱することにより、刃に靱性(粘り)を与え、硬いだけでなく折れにくい鋼材が出来上がる。
刃付(NC)
コンピュータで数値制御(NC)された刃体を動かしながら、刃の厚みを薄くするための砥石と、先端に刃を付けていく砥石の複数の砥石によって、メスの形状に合わせた刃先を加工していく。人間の手ではコントロールできない微細な加工が要求されるので、このようにコンピュータ制御による精密刃付が行なわれている。
特殊刃先研磨
刃体に付着したバリ(研削時にできる金属の出っ張り。返しともいう)を取り除くために特殊な研磨技術を用いて刃先を仕上げていく。この工程で、メスの切れ味が決定するため、長年の蓄積で培った加工ノウハウが生かされている。
組立て・検査・包装
完成した刃体を、ハンドルに差し込み固定、その後、刃先を一本、一本顕微鏡下で検査していく。刃先の検査が完了したメスは、刃先を保護するケースに挿入され、滅菌袋に入れ密封される。最後に輸送用のカートンにまとめられ、滅菌処理の工程へと送られる。この工程は、空気中に浮遊する塵の数を制御して清浄な状態を保ったクリーンルームと呼ばれる部屋で作業が行なわれている。
ハイレベルな清浄度を求められる医療器具専用の作業ルーム
高度な衛生状態を要求される医療用器具の組立や包装は、クリーンルームと呼ばれる部屋で行なわれる。クリーンルームとは、空気中に浮遊する塵や埃の発生率を極力制御した部屋のこと。貝印の工場では、国際統一規格に基づいたクラス100,000というレベルの清浄度を保つクリーンルームを常設しており、この部屋で様々な種類の医療用器具が作られている。
滅菌処理
梱包されたメスは、カートンごと滅菌装置のなかに運ばれる。装置内に殺菌能力が非常に強いエチレンオキサイドガスを充満することでメスが滅菌される。病院で手術に用いる際、改めて滅菌することなく、袋を開けてすぐに手術室で使える状態にするために、工場から出荷する前に滅菌が施されている。